仙石原
一面のススキ草原から、夢破れた人々の切ない思いが伝わってくる
背丈ほどある草原の中を歩くと、先の見えない道が、そのまま知らない世界へつながっているような感覚を覚える。
箱根の秋の風物詩といえば、仙石原・台ヶ岳の斜面を覆うススキ草原です。
夏の間、まぶしいほどに青々と茂ったススキも、初秋を迎えると穂が膨らみ、斜面を黄金色の絨毯で敷き詰めます。
見る者の心を和ませてくれるススキですが、かつてこのあたりに暮らす人にとって、大切な生活の糧でした。
江戸時代、この広大な原野を開拓すれば千石もの穀物が収穫できるだろうと名付けられた仙石原。しかし、火山灰が覆う湿地帯は耕作に適さず、その夢ははかなくも破れました。
その代わり、屋根をふくカヤ、つまりススキを植えて生活の糧としたのだそう。
風が吹いて斜面全体がうねるように揺れるたび、どこかもの悲しさが漂うのは、昔の人の叶わなかった夢の名残りでしょうか。
所在地 | アクセス | 問い合わせ先 |
---|---|---|
神奈川県足柄下郡箱根町 | ・箱根登山鉄道箱根湯本駅から路線バスで約30分、仙石高原停留所下車。 ※ススキのシーズン中は特別バスの運用もあり。 | 箱根町観光協会 TEL 0460-85-5700 |
スポンサーリンク